顎顔面矯正(小児)

小児期の顎顔面矯正

歯並びが悪くなる原因のひとつは、歯の大きさに対して顎の骨が小さいということです。その原因である歯と顎の骨のアンバランスを解決することが顎顔面矯正の目的です。顎顔面矯正は、顎の骨全体を正しい状態へと導くことで、永久歯が生え揃うためのスペースをつくり、不正歯列の根本的な解決を目指す治療方法です。

上顎の発達不足が歯列不正などの問題を引き起こす

顎の骨が未発達だと、歯並びが悪くなること以外にも様々なデメリットが生じます。例えば上顎が未発達だと鼻腔が狭くなり、鼻呼吸がしづらくなります。その結果、口呼吸になります。

口呼吸が増えると風邪をひきやすくなります。なぜなら、鼻呼吸の場合は鼻の粘膜が異物を取り除くフィルターになりますが、口にはそんな機能がないので、病原菌が体内に入りやすくなるという訳です。

また、口呼吸をすることで口が乾燥して唾液の分泌量が下がります。すると、細菌が繁殖しやすいお口の環境になりやすく、虫歯や歯周病の発症リスクが上がります。顎の未発達は舌の動きも阻害するため、滑舌が悪くなったり、うまくものを咬めないといった問題も発生します。

顎顔面矯正は顎の骨を正しく発達させることで、これらの問題を解決し、健康で強い体づくりを促す効果も期待できます。

顎顔面矯正の治療方法

顎顔面矯正は、主に「急速拡大装置」と呼ばれる矯正装置を用います。上顎には、正中口蓋縫合という骨のつなぎ目があり、そこで左右ふたつの骨に分かれています。

このつなぎ目を急速拡大装置によって広げると、上顎全体が正常に発育していくように促されます。結果として、永久歯が正しい位置で生えてくるようになります。

10歳頃を過ぎると、骨の発育が緩やかになりますので、それまでに治療を行うことが必要です。

なお、顎顔面矯正の治療は、痛そうなイメージを持たれる方が多いのですが、歯に無理な負担をかけません。矯正装置の装着直後や矯正装置の調整後の数日間は、多少の痛みを訴える方もいらっしゃいますが、すぐに慣れるお子様がほとんどです。

顎顔面矯正の装置

急拡大装置(ハイラックス)

急速拡大装置は、上顎に装着して、上顎の骨を拡げる固定式の矯正装置です。装置の中央にはスクリューが付いており、そのスクリューを回転させることによって、矯正装置を広げていきます。装置を広げると、上顎骨中央の正中縫合部といわれる骨のつなぎ目が広がり、上顎の正しい発育が促されます。

緩徐拡大装置(ポーター)

緩徐拡大装置は、急速拡大装置よりも弱い力で歯を徐々に外側に傾斜させて歯列を広げる固定式の矯正装置です。緩徐拡大装置は、上顎だけでなく下顎の歯列弓(幅)を広げる際にも用いられます。下顎は、上顎が大きくなってから広げます。上顎が大きくならないと下顎は広がらないためです。

舌側弧線装置(リンガルアーチ)

歯の裏側(舌側)から押すことで、口腔内を広げつつ歯並びを整える固定式の矯正装置です。歯列弓の内側から生えてきた歯を外側に押し出したり、斜めに生えてきた歯を起こすときに有効です。

床矯正治療との違い

歯と顎のサイズのアンバランスを解消する矯正治療には、顎顔面矯正以外に床矯正と呼ばれる治療方法があります。

顎のスペースを広くすることで将来歯並びが悪くならないようにするという目的は同じですが、床矯正はお子様自身が矯正装置を着脱するので、管理することが難しく、期待していた治療効果が得られないことも少なくありません。

また、骨よりも歯に力が加わるので、骨の動きをコントロールするのが難しいというデメリットがあります。しかし顎顔面矯正であれば装置を歯に固定するため、取り外すことがありません。何よりも、歯より骨へ力が伝わりやすいので、期待した効果を得られやすいというメリットがあります。

顎顔面矯正を始める年齢について

右のグラフは、子供の年齢と成長発育のスピード(大きく成長する時期)を示したものす。

上顎の発育は、神経系に近い発育を示し、7~8歳の段階で約90%の発育を終え、それ以降はほぼ期待できません。したがって、7~8歳頃すでに上顎の不正歯列があった場合は、自然に治ることはほとんどないということです。

下顎の発育速度は一般型に近く、出生後一旦降下しますが、思春期になると大きく発育する時期がきます。つまり、上下顎の大きさの調和を図るためには、まず思春期に入るまでの段階で上顎を大きくすることが必要なのです。 

具体的には4歳から9歳までには治療を開始するのがベストです。10歳になると骨の継ぎ目が複雑化し、上顎の発育が終わりに近づきますので、それよりも早い段階で治療を開始することが望ましいと言えるでしょう。

顎顔面矯正で得られる効果

上顎の成長を促して顎骨が大きくなれば、当然上顎の上に位置する鼻腔の容積も広がります。その結果、スムーズな鼻呼吸が可能となり、口呼吸を鼻呼吸に変えることができます。

口呼吸から鼻呼吸に変わるメリットとしては、病原菌の侵入を防ぐことで虫歯になりにくくなる、いびきが改善され睡眠の質が上がる、免疫力が上がり風邪やインフルエンザになりにくくなる、口ポカンがなくなり顔の印象が良くなる等です。

そのほかに、舌の位置を改善できるメリットがあります。呼吸、咀嚼、発音を正常に機能させるには、上顎の正しい位置に舌が収まっていることが必要です。しかし、何らかの原因によって舌が上顎に収まらないまま発育すると、顎骨の形態が悪くなり、さらなる機能の異常を招きます。

鼻でスムーズに呼吸し、しっかりと咬んで食べること。これらのことが正常にできないことで様々な問題が起きているお子様が急増しています。 健康な身体のためには、顎顔面の発育が必要なのです。

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